
シックハウス対策のための建材の種類と選び方
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記事公開日 : 2026/10/09
新築やリフォームの現場で欠かせない「シックハウス対策」ですが、建築基準法にもとづく規制の対象・対象外を正しく理解できているでしょうか。
施工管理や設計を担当されている方の中には、「どの建材が規制対象になるのか」「換気設備の基準はどこまで求められるのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
シックハウス対策は2003年の建築基準法改正により法制化され、ホルムアルデヒドやクロルピリホスなど特定の化学物質に対する規制が設けられています。
しかし、規制の対象となる建材・設備には明確な線引きがあり、対象外となるケースも存在します。この線引きを誤ると、施主への説明不足やクレーム、最悪の場合は法令違反につながるリスクもあります。
そこで、本記事ではシックハウス対策における法律基準の全体像を整理し、規制の対象・対象外となる化学物質や建材の考え方をわかりやすく解説します。
シックハウス症候群とは、住宅の高気密化・高断熱化が進む中で、建材や家具から発散される化学物質によって、居住者の目や喉の痛み、頭痛、倦怠感などの健康被害が生じる問題を指します。
この問題が社会的な課題として認識されるようになり、2002年に建築基準法が改正され、2003年7月1日から「シックハウス対策」に関する規定が施行されました。
規制の目的は、建築材料や換気設備の基準を法律で定めることにより、住宅内の化学物質濃度を一定基準以下に抑え、居住者の健康を守ることにあります。
国土交通省の資料でも、この改正の趣旨として「建築材料から発生する化学物質による衛生上の問題を防止するための規制」と明記されています。
建築基準法で規制対象とされている化学物質は、主に以下の2種類です。
この2つの化学物質については、それぞれ異なる規制のアプローチが取られており、特にホルムアルデヒドについては建材の区分や換気設備の設置義務など、複数の規定が設けられています。
建築基準法施行令第20条の6では、クロルピリホスを添加した建築材料の使用が原則として禁止されています。
具体的には、クロルピリホスを発散する恐れのある建築材料は、居室を有する建築物に使用することができません。
ただし、クロルピリホスを添加してから5年以上経過した建築材料など、発散が終息していると考えられるものについては使用が認められる場合があります。
この規定は、シロアリ駆除剤としてクロルピリホスが広く使用されていた背景から設けられたものです。
ホルムアルデヒドに関する規制は、クロルピリホスと比較して複雑な仕組みになっています。
大きく分けて「内装仕上げの制限」「換気設備の設置義務」「天井裏等の制限」の3つの観点から規制が設けられています。
建築基準法施行令第20条の7では、ホルムアルデヒドを発散する建築材料を発散量に応じて区分し、居室の種類や換気回数に応じて使用面積を制限しています。
具体的には以下のような区分がなされています。
この区分は、JIS・JASなどの規格における「F☆☆☆☆」といった等級表示と対応しており、発散量が少ないほど使用制限が緩やかになる仕組みです。
建築基準法施行令第20条の8では、原則としてすべての住宅等の居室に、機械換気設備等の設置が義務付けられています。
これは、ホルムアルデヒドを発散する建材を使用していない場合でも、家具などからの発散を考慮し、常時換気を行うことを目的とした規定です。
一般的には24時間换気システムの設置により、この義務を満たすことになります。
必要な換気回数は、住宅等の居室では0.5回/h以上、その他の居室では0.3回/h以上が原則です。
ただし、建築物の構造等によって例外が設けられている場合があります。
天井裏、床下、壁内、収納スペースなどの「天井裏等」についても、ホルムアルデヒドの発散による居室への影響を防ぐための規制が設けられています。
具体的には、天井裏等と居室が通気できる構造となっている場合、天井裏等にも居室と同様の建材使用制限が適用されます。
天井裏等については、①ホルムアルデヒド発散量の少ない建材を使用する、②気密層や通気止めによって居室への流入を防ぐ、③換気設備によって天井裏等も換気する、といった措置が求められます。
シックハウス対策の規制対象となる主な建材には、以下のようなものがあります。
これらの建材は、製造時にホルムアルデヒドを含む接着剤や塗料が使用されることが多く、使用面積や設置場所に応じた制限を受けます。
特に、集成材や合板を使用した造作材、下地材などは規制対象となる可能性が高いため、施工計画時の確認が重要です。
ホルムアルデヒド発散建築材料の区分は、JIS・JAS規格に基づく「F☆☆☆☆」表示によって確認することができます。等級と規制区分の対応は以下の通りです。
F☆☆☆☆等級の建材は、ホルムアルデヒドの発散量が最も少ないとされ、使用面積に制限を受けずに使用できるため、現在の住宅建材市場では主流となっています。
施工管理・設計担当者は、使用する建材のF等級を必ず確認し、図面や施工計画に反映させる必要があります。
すべての建材がシックハウス対策の規制対象となるわけではありません。
以下のような建材・材料は、規制の対象外として扱われます。
これらの建材は、化学物質の発散源とならないため、使用面積の制限を受けずに自由に使用することができます。
近年では、こうした低ホルムアルデヒド・非ホルムアルデヒド建材の開発が進んでおり、設計の自由度を確保しながら法規制に対応する選択肢が増えています。
原則としてすべての居室に機械換気設備等の設置が義務付けられていますが、以下のようなケースでは対象外となる場合があります。
ただし、実際の設計・施工の現場では、家具や日用品からのホルムアルデヒド発散も考慮する必要があるため、居室については原則として機械換気設備を設置する運用が一般的となっています。
対象外の判断を行う際は、必ず所轄の建築主事や指定確認検査機関に確認することをおすすめします。
シックハウス対策の法規制に対応しながら、快適な室内環境を実現する内装建材として注目されているのが、無機質系の天然素材を中心に構成された建材「MOISS(モイス)」です。
MOISSは無機質のケイ酸カルシウムを主原料としており、ホルムアルデヒドを含む接着剤や化学物質の使用を最小限に抑えた製品設計となっています。
そのため、内装仕上げの制限を受けにくい建材として、多くの新築・リフォーム現場で採用されています。
また、MOISSは優れた調湿性能を持つことでも知られており、調湿によって結露の発生を抑え、カビ・ダニが繁殖しにくい室内環境づくりに寄与します。
シックハウス対策は化学物質の発散を抑えるだけでなく、室内の空気環境全体を良好に保つことが本質的な目的であるため、こうした調湿性能は非常に重要な要素です。
施工管理・設計を担当される方にとって、MOISSを採用するメリットは以下のように整理できます。
法規制の遵守は施工管理・設計担当者にとって避けられない責務ですが、MOISSのような建材を活用することで、法令対応と快適な住環境の両立を実現しやすくなります。
シックハウス対策は、2003年の建築基準法改正により法制化された制度であり、クロルピリホスとホルムアルデヒドという2種類の化学物質を中心に規制が設けられています。
特にホルムアルデヒドについては、内装仕上げの制限、換気設備の設置義務、天井裏等の制限という3つの観点から複雑な規定が存在するため、施工管理・設計担当者は建材のF等級表示や使用箇所を正確に把握しておく必要があります。
一方で、F☆☆☆☆等級の建材や無垫材、金属・ガラスなどホルムアルデヒドを発散しない材料は、告示対象建築材料のうち使用面積制限を受けない区分となり、設計の自由度を確保しながら法令に対応することが可能です。
こうした対象・対象外の線引きを正確に理解することが、施主への適切な説明とクレーム防止、そして法令遵守の観点から非常に重要です。
法規制への対応と室内環境の質の両立を目指す上で、MOISSのような調湿性能に優れた内装建材の活用は、有効な選択肢の一つとなるでしょう。
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